本稿では、吹き抜けのメリットとデメリットをご紹介します。注文住宅の間取りをご検討中の方や、吹き抜けをつくろうか迷われている方は、ぜひ最後までご覧ください。
住宅展示場を見て回るとだいたい吹き抜けがあり、実物の開放感を体験すると間取りに取り入れたくなります。とは言え、吹き抜けを取り入れて後悔しているクチコミも見かけますから、つくるかどうか迷っている方も少なくないでしょう。
本稿をご覧いただくと、吹き抜けをつくったあと後悔しないための対策がわかります。しっかり知識を深めていただき、理想の吹き抜けをつくってみませんか。
後悔につながる?吹き抜けのデメリット
素敵な吹き抜けをつくったにもかかわらず、暮らし始めたあと後悔する方がいるのはなぜでしょうか?
じつは、吹き抜けにはデメリットとも言える弱点があります。吹き抜けにどのような弱点があるか知っておくと対策できるので、あとで後悔する可能性がグッと下がるでしょう。
それではさっそく、吹き抜けの弱点をご紹介します。
吹き抜けのデメリット(弱点・短所)
吹き抜けをつくって後悔している方は、何に対して「失敗した」と感じているのでしょうか。
インターネット等に書かれている吹き抜けのクチコミを読んでいると、いくつか弱点が見えてきます。代表的なものを6つご紹介しましょう。
冷暖房効率が悪くなる
吹き抜けの否定的なクチコミの代表と言えば「2階から冷たい空気が降りてきて寒い」とか「直射日光が差し込み暑い」といった温度環境に対するものでしょう。「覚悟していたけど、やっぱりツライ」といった意見も散見されます。
高所のメンテナンスがしづらい
高い位置の照明は、電球交換や掃除が困難です。同じく窓も、高所に設置すると掃除が大変です。じつは壁面にもホコリが付着しますが、その掃除も難しいでしょう。
ケムリやニオイが2階に上がる
1階にキッチンがある場合、2階に料理のニオイが上がり、壁やファブリックに付着します。キッチンの換気扇がキャッチできなかったケムリも、2階に上がってしまいます。
音が広がる
吹き抜けを通して、1階の音は2階へ。2階の音は1階へ伝わります。 テレビを設置している部屋に吹き抜けがある場合は、テレビの音が聞こえにくくなる点も注意が必要です。
転落の危険性がある
床がないということは、転落の危険性があるということです。とくに小さなお子様がいるご家庭は、最大限の注意が必要です。人だけでなく、ものの落下にも気をつけねばなりません。
耐震上よくない
地震の際、耐震面で床はとても重要な役割を担います。吹き抜けは床がないので、耐震上弱くなります。吹き抜けの位置、吹き抜けの面積、階段の場所(階段にも床がない)とのバランス等をよく検討しないと地震に弱い家になります。
吹き抜けのメリット(長所)
吹き抜けには上述のような短所がありますが、だからといって「採用しない」と決めてしまうのは早計です。吹き抜けにはそれを補って余りある長所もありますので、ご紹介しておきましょう。
開放感がある
吹き抜けの長所の代表と言えば「開放感」でしょう。ダイナミックな空間がつくれるのも魅力で、オシャレでインパクトあるインテリアが好きな方におすすめできます。リビング階段との相性も抜群です。
床を張って部屋にすることも可能
将来的に床を張って、子ども部屋や書斎、納戸をつくることも可能です。あらかじめ、床が張れるように構造や配線等の設計をしておくとよいでしょう。なお、増床は建築確認が必要なケースもあるのでご注意ください。
高い位置に窓が設置できる
吹き抜け空間は、高い位置に窓が設置できます。高所の窓は、見晴らしだけでなく採光も有利です。たとえばトップライト(天窓)なら、一般的な壁の窓と比べて3倍の光を取り入れられます。
風通しがよくなる
高い位置の窓は。天窓だけではありません。ハイサイドライト(頂側窓)なら天窓より防水性能が高いうえ、1階から開閉できるタイプの窓も複数あります。高い位置に窓があると、温度差を利用した換気(下から上へ抜けていく)ができます。
1階と2階を空間的につなげる
吹き抜けは、1階と2階の分断を解消してくれます。どこにいても家族の気配を感じ取りやすいので、家族のつながりを大切にする方にはうってつけの間取りです。
後悔を防ぐためのデメリット解消方法
吹き抜けがあることで音やニオイが伝わりやすくなりますが、これは解消が難しいでしょう。とは言えこの問題はトレードオフであり、上述のとおり解放された空間だからこその利点もたくさんあります。
しかし室温やメンテナンス、安全性については、見過ごすわけにはいきません。可能な限り対策を打っておくべきでしょう。
まずは、1階と2階の温度差を軽減する対策を3つご紹介します。
高気密高断熱住宅にする
住宅の仕様を高気密高断熱にすることで冷暖房効率が上がり、冷房や暖房がききやすくなります。保温能力も上がるので、室温を長時間維持しやすくなります。家中の温度差が少なくなるのも魅力です。
シーリングファンを設置する
吹き抜けの天井にシーリングファンを設置すると、空間の空気をかきまぜてくれます。上に溜まっている暖かい空気は下へ。床付近の冷たい空気は上へと循環させ、室温のムラを少なくします。室温のムラがなくなると、エアコンの効率もアップします。
輻射式暖房を利用する
輻射式暖房は、電磁波(赤外線)で室内を温める暖房器具です。床・壁・天井が暖まり、室温のムラが少なくなるので、体感温度が上がります。ガスなら温水床暖房、オール電化なら蓄熱式暖房がおすすめです。クラシックな家には、薪ストーブもよいでしょう。
つづいて、メンテナンスしやすくする対策を2つご紹介します。
吹き抜けの照明の位置は高くしすぎない
吹き抜けの照明を脚立で届く位置にすると、メンテナンスしやすくなります。おすすめは、壁面に設置できて、壁面を照らせる照明です。たとえばブラケット照明や首が振れるスポットライトは、吹き抜けを美しく演出してくれます。電動で照明器具を下ろせる、昇降式ペンダントライトもよいでしょう。
グレーチングの床を張る
吹き抜けの全部または一部にグレーチング状の床を張ると、窓のメンテナンス用の足場になります。グレーチングとは、格子状のパネルのこと。鉄製のものはよく道路の側溝で見かけますが、住宅でも使えるFRP素材のものがあります。光や風を通すので、吹き抜けでも活用できます。
つづいて、環境の悪化を防ぐ対策を2つご紹介します。
吹き抜けの窓に窓掛けをつける
吹き抜けの窓に窓掛けをつけると、まぶしさや暑さが軽減できます。窓掛けは、1階から開閉操作できるものを選ぶとよいでしょう。たとえばブラインドやバーチカルブラインド、ロールスクリーン、ローマンシェードなどが該当します。
吹き抜けの窓はLow-Eのペアガラスにする
Low-E(ロゥイー)ガラスとは、ガラスの表面に特殊な金属膜をコーティングしたガラスのこと。Low-E膜が外気の影響や室温の流出を減らしてくれます。ペアガラスにすることで、さらに夏の暑さや冬の寒さが軽減できます。
最後に、安全対策を2つご紹介しましょう。
落下しないような手すりを設置する
吹き抜け空間の2階や階段の手すりは、高さや隙間を安全重視のデザインにしておきたいところです。小さなお子様がいるご家庭では、手すりではなく腰壁にすることも検討しましょう。開放感が損なわれないか心配なら、アクリルパネルや強化ガラス張りの手すりを採用するとよいでしょう。
構造計画をしっかりとおこなう
地震に対抗する壁(耐力壁)は、水平構面がしっかりしていないと力を発揮できません。吹き抜けは構面の強度が小さくなりますので、必要に応じて、簡易な壁量計算ではなく緻密な構造計算をおこなうほうが安心です。
吹き抜けのメリットとデメリット、その対策まとめ
吹き抜けを間取りに取り入れると、開放的でダイナミックな空間づくりができます。しかし、いくつか短所もあるので、しっかりと把握したうえで対策を講じておきたいところです。
とくに落下対策や室温の対策、地震対策が重要です。あとで後悔しないように打てる手は打ち、吹き抜けのよさを思う存分楽しみましょう。
日当たりがよく広がりのある吹き抜けは、きっとあなたのマイホームのグレードを上げてくれることでしょう。
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