自由設計とは？家をオーダーメイドしたい方に知っておいて欲しい事実

本稿では「自由設計の家」の正体について解説します。こだわりのマイホームを建てたい方に、家づくりを始める前に読んでいただきたい内容です。

家を建てるなら、可能な限りこだわりたいですよね。「自由設計の家で夢を叶えよう！」とお考えの方は少なくないでしょう。でも、じつは不自由な「自由設計の家」もあるのです。

どういうことかと言うと、パターン化された間取りや仕様から選ぶ方式の「自由設計」があるのです。それで自由設計と言っていいのか疑問ですが、自由に設計できると思って相談した方は、おそらく不満が残る仕組みでしょう。

では、選択肢が限定されない、本来の自由設計の家はどこに頼めばいいのでしょうか。本稿でその答えを知っていただき、こだわりを盛り込んだオンリーワンのマイホームを建ててみませんか？

自由設計の家とは？

「自由設計の家」と聞くと「すべてオーダーメイドでつくる家」や「注文住宅」を想像する方が多いでしょう。しかし「自由設計」には決まった定義がなく、現状では使う人によって意味が異なっています。

そんな「自由設計」ですが、大別すると、これからご紹介するふたつの文脈で使われているケースをよく見かけます。順番にご紹介していきましょう。

注文住宅における自由設計

住宅における「設計」とは、どんな意味なのでしょうか？建築士法2条6項には「設計図書を作成すること」と書かれていて、設計図書は「建築工事実施のために必要な図面と仕様書」と記載されています。

つまり、自由設計の家とは「図面と仕様書の記載事項について、自由度高く作成や選択ができる家」と考えられます。これを意訳するなら「構造・工法・間取り・材料・仕上げ材など、あらゆるものが施主の自由に選べる家」と言えそうです。これは「注文住宅」とほぼ同じ意味でしょう。

ところが注文住宅の建築会社の中には、間取りのプランをパターン化しているところがあります。ですから、それに対して「ゼロから間取りをつくる」という文脈で「完全自由設計」という言葉が使われるケースがあります。

条件付き土地（売建住宅）における自由設計

もうひとつ「建売住宅に比べて、間取りの自由度が高い」という文脈で「自由設計」や「フリープラン」とうたい販売される家があります。いわゆる「条件付き土地」です (意味や特徴は後述)。

「条件付き土地」にはベースとなるプラン（間取り）があり、それを多少変更して建築するケースが多いようです。ですから、注文住宅の一種と思う方が多そうですが、じつは設計の自由度は建売住宅に近いのです。

それぞれの住宅を、以下のように言い換えてもいいかもしれません。

• 注文住宅は「オーダーメイド住宅」
• 建売住宅は「レディメイド住宅」
• 条件付き土地は「カスタムメイド住宅」

条件付き土地に建つ家は「売建住宅」と呼ばれます。この住宅はカスタムメイドであり、レディメイド（既製品）を作り替えたものです。ですから建材や住宅設備、性能や機能は、建売住宅とほぼ同等です。

よって、注文住宅で使う「自由設計」と条件付き土地で使う「自由設計」は、同音異義でありまったく違うものと考えていただくほうがよいでしょう。共通して言えるのは「(何かと比較して) 間取りの自由度が高い」ということです。

建売住宅と条件付き土地（売建住宅）の違い

ここまでに「注文住宅・建売住宅・条件付き土地 (売建住宅)」と、3つの住宅が登場しました。さらに、条件付き土地に建つ家は建売住宅に近いとご説明しました。

ここで、もう少し詳しく3つの住宅の特徴をご紹介しておきたいと思います。まずは、建売住宅と条件付き土地の特徴から解説していきましょう。

建売住宅（分譲住宅）とは？

建売住宅は、販売前にすでに建っている、あるいは設計が済んでいる住宅のことです。土地と建物がセットで販売されていて、売主と不動産売買契約を結び購入します。

中には未建築で販売されている建売住宅もありますが、基本的に構造や工法、間取りの変更はできません。なぜなら、住宅を販売するためには、自治体の建築主事か指定確認検査機関による「建築確認済証」が必要だからです。

建築確認が済んだ住宅の設計を変更するのは、簡単ではありません。分譲会社は合理化や効率化でコストダウンしていますから、手間がかかる大がかりな変更は基本的に受け付けてくれないのです。

徹底的にコストダウンされた建売住宅は、注文住宅に比べて、同レベルの住宅が安く買えます。条件付き土地を買うより早く引っ越しまでたどり着けるのも、魅力のひとつです。

条件付き土地（売建住宅）とは？

条件付き土地は、土地販売の手法のひとつです。その土地を買うなら建物は指定の建築会社で建てる必要があり、この点で建築会社を自由に選べる注文住宅と大きく違います。

未建築の建売住宅と似ていますが、まだ建築確認が終わっていないので、プランに「自由」が残されています。このことから「自由設計の家」や「フリープラン」のうたい文句で売り出されるケースが多々あります。

条件付き土地のメリットをいくつかご紹介しましょう。

• 比較的条件がよい土地が買える
• 注文住宅より安く、ラクに建築できる
• 建築途中が見られる

「条件付き土地」として売り出されている土地は、不動産業者が購入したものです。ですから、一般人が買える土地より条件（駅近や整形地など）がよく、建物より土地条件の優先度が高い方におすすめです。

条件付き土地に建つ家は注文住宅より安い傾向があり、自由度が低いぶん打ち合わせも簡略されていて、ラクに家づくりができます。また、建築現場が見られることは、既築の建売住宅にはないメリットと言えるでしょう。

いっぽう、以下のようなデメリットがありますので、高度にこだわった家づくりがしたい方にはむいていません。

• 建築会社を選べない
• 注文住宅ほど設計の自由度が高くない
• 高度なプランは対応できないか、高額な追加費用がかかる

先述のとおり、建築条件付き土地は指定の建築会社で建てる必要があり、その建築会社が不得意なことは対応してもらえません。たとえば吹き抜けのあるLDKがつくりたくても、過去に実績がない建築会社なら断られる可能性もあるのです。

仮に対応してくれたとしても、慣れない仕事ですからロスや無駄が出ます。それにともない無駄な材料費や人件費がかかります。それどころか、暑さや寒さ、まぶしさに悩まされる吹き抜けができ上がることもじゅうぶん考えられるのです。

土地条件より建物の性能や機能を優先したい方には、注文住宅がおすすめです。

注文住宅とは？セミオーダーとフルオーダーの違い

つづいて、注文住宅の特徴を詳しく解説していきましょう。

注文住宅とは？

注文住宅は、建売住宅と大きく異なる特徴が3つあります。ご紹介しましょう。

• 所有している土地や購入した土地に家を建てる
• 建築会社と建築工事請負契約を結ぶ
• 設計の自由度が高い

注文住宅は自由に設計できる反面、完成まで手間暇がかかるので、高額になりやすい点は注意が必要です。じつは、設計の自由度の違いから「セミオーダー」と「フルオーダー」があることも、覚えておいていただきたいところです。

ちなみに、世の中の注文住宅のほとんどは「セミオーダー」で、完全自由設計ではありません。自由に設計できる部分は建築会社によって違いますが、先述のとおり、中には間取りのプランもパターン化している会社があります。

なお、注文住宅についてはこちらの記事でも解説しています。もっと詳しく知りたい方は、あわせてご覧ください。

》注文住宅とは？メリットとデメリット

つづいて、フルオーダーとセミオーダーの違いを簡単にご紹介します。

フルオーダー

フルオーダーの注文住宅は、構造・工法・間取り・建築材料・住宅設備など、すべての項目で依頼者の要望を取り入れて建築できます。組み合わせや法規上の問題がない限り、すべて自由に選択できるのです。

キッチンや洗面化粧台も既製品を使わず、パーツを組み合わせてつくることが可能です。まさに、隅から隅まで世界にひとつのオンリーワン住宅が建築できます。

フルオーダー住宅は、お施主様（工事発注者）にも一定の建築知識が求められます。人件費や材料費、設計費がアップしやすく、潤沢な資金も必要です。逆に徹底的にコストダウンできるのも、フルオーダーが持つ長所のひとつです。

フルオーダーであるがゆえに、打ち合わせで決めることがたくさんあります。ですから、お施主様も建築会社も、膨大な労力と時間が費やされます。ここを合理化するために、ほとんどの建築会社が、多かれ少なかれセミオーダーにしているのです。

セミオーダー

セミオーダーの注文住宅は、基本的な仕様があらかじめ決められています。たとえば、構造（木造・鉄骨造・RC造など）や工法（木造軸組工法・ツーバイフォー工法など）は選べない建築会社がほとんどでしょう。

いっぽう建築材料や住宅設備は、標準的な仕様があるものの、ある程度自由に変更できます。選択の自由度は建築会社によってマチマチで、まったくフリーで選択できるところや、オプションとして選択肢を準備しているところなど様々です。

注文住宅で多いのは、圧倒的にセミオーダーの会社です。どうしても叶えたい要望があるなら、それに対応できるのか、過去に実績はあるのか、確認しておくことをおすすめします。

【まとめ】自由設計とは？

「自由設計」は設計（とくに間取り）の自由度が高い住宅に使われます。主に注文住宅や条件付き土地（売建住宅）に使用されますが、前者と後者の住宅では同音異義と言っていいほど自由度が違います。

さらに、注文住宅はフルオーダーとセミオーダーに分かれ、このふたつの間でも設計の自由度が大きく異なります。ですから「自由設計＝要望がすべて叶う」と思わず、どこまで自由に設計できるのかよく確認してから建築会社を選ぶべきです。

だわりたいところは完全自由設計で対応してくれて、とくにこだわりがないところは標準仕様でうまくやってくれる……そんな建築会社を見つけられたら、あなたの要望とコストダウンが両立する家づくりができるでしょう。

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