本稿では、スキップフロアのメリットとデメリットをご紹介します。新築でスキップフロアを取り入れようとご検討中の方は、ぜひ最後までご覧ください。
注文住宅を建てるときは「こだわりたい!」とお考えになる方がたくさんおられます。あなたも「自分のライフスタイルや感性に合わせて、個性的で機能的な空間や間取りをつくりたい」と感じておられませんか?
スキップフロアを取り入れると個性的な空間になりますが、バリアフリーにむかない等のデメリットもあります。ですから、長所も短所も理解したうえで採用していただくほうがよいでしょう。
住み始めてから後悔しないために、本稿をご活用ください。
スキップフロアのメリットとデメリット
さっそく、スキップフロアのメリットとデメリットからご紹介しましょう。まずは、メリットからです。
小見出し:スキップフロアのメリット
スキップフロアを採用したお施主様が「よかった!」と感じておられる項目をご紹介します。代表的なものは、以下の5つです。
- 広く見える
- ゆるやかに空間を区切れる
- デザイン性が高い
- 床面積や収納面積を増やせる
- 敷地の勾配(傾斜)を解消できる
スキップフロアは壁をつくらないケースが多く、空間が縦にも横にもつながっているように感じます。その影響で、均一な平面と壁で構成された一般的な住宅より、空間の広がりを感じさせる効果があります。
スキップフロアを活用して、上手く多層構造にすることで、あまり見かけないオシャレな空間になります。利用できる床面積を増やすこともできるので「狭小地と相性がよい」と言えます。
傾斜地の勾配にそって建てるときにも、スキップフロアが活躍します。平面にするための造成が少なくて済むので、土地にかかる費用を節約できます。
スキップフロアのデメリット
つづいてスキップフロアのデメリットもご紹介します。一般的に、スキップフロアは以下の弱点があると言われます。
- 空調の効きが悪くなる
- 階段の昇降が多くなる
- 掃除が面倒
- 建築費用が割高になる
スキップフロアは、空間が縦にも横にもつながっています。これは空間を広く見せるのに有用で、デザイン性も高くなりますが、空調は効きにくくなります。
また、スキップフロアがある家は階段が多くなりますので、必然的に昇降運動も多くなります。ですからバリアフリーには不向きで、ご年配の方は生活するのに苦労するでしょう。エレベーターの設置も、一般的な住宅より困難です。
多層構造を上手く活用すると床面積が増えますが、掃除面積も増えます。ロボット掃除機をご利用の方は、複数台所持しないといけないかもしれません。
実用的な床面積が増えるということは、それだけコストもアップするということです。工事の手間も増えるので、職人の人件費もアップします。
「3階建てにするより、2階建て+スキップフロアで安く済ませたい」とか「傾斜地を削って造成せず、スキップフロアで対応したい」などのケースでは、コストダウン側に働くこともあります。
スキップフロアとは?
「スキップフロア」について、もう少し深掘りしてみましょう。スキップフロアとは、そもそもどういう状態でしょうか。
スキップフロアとは、ひとつの建築平面の中にあえて違う高さで設けたエリアのことを指します。2階建て住宅でも、3層以上にできます。
ちなみに、スキップフロアにはいろいろな別称がありますので、ご紹介しておきましょう。以下のものも、スキップフロアを指します。
- 小上がり
- 1.5階
- 中2階
スキップフロアは単にオシャレなだけでなく、住まいの制約を緩和するのに役立ちます。3つほど活用事例をご紹介しましょう。
- スキップフロアの下に大収納空間をつくる
- 敷地に勾配(傾斜)があり、その勾配にそって建築する
- インナー・ガレージの天井を低くして、その上をスキップフロアにする
活用事例のように、スキップフロアは高さ方向の工夫で住まいの性能をアップさせます。ですから、狭小の土地や高低差のある土地の課題解決に役立つのです。
平屋やマンションでも、スキップフロアは可能か
スキップフロアは、平屋やマンションなど1層の住宅には使えないのでしょうか?
結論から言えば、平屋やマンションにスキップフロアを導入することは可能です。たとえば、和室部分を小上がりにして畳の下に収納を設ける工夫は、よく採用されています。
マンションでは、キッチン部分を小上がりにすることで、PS(排水管スペース)から離れたところに設置できるようになります。(通常、水回りはPS付近に設置します。PSはマンションの1階から最上階まで同じ位置にあり、動かせません)
スキップフロアで失敗や後悔するのを避ける方法
いろいろとメリットが多いスキップフロアですが、あなたの生活や価値観に会わなければ、住み始めてから後悔することになります。そうならないために、以下の2つに気をつけてください。
- 「なんとなくオシャレだから」だけで造らない
- 実績があり、詳しい建築会社に依頼する
それぞれ、詳しく解説していきましょう。
「なんとなくオシャレだから」だけで造らない
スキップフロアは、バリアフリーと正反対の構造です。建築コストもアップします。「オシャレにしたい」とか「あこがれる」といった理由だけで採用するのは、慎重になったほうがよいでしょう。
スキップフロアにすることで、間取りや暮らしの課題が解決できるのなら、積極的に導入を検討してみましょう。「狭小地や傾斜地を有効活用したい」とか「限られた空間の中で、利用できる床面積を増やしたい」とお考えの方には、スキップフロアが役立ちます。
必要性が低いスキップフロアは、老後に後悔するかもしれません。それを承知のうえでご採用いただけば、将来たとえ大規模リフォームが必要になったとしても「失敗した」と感じることはないでしょう。
実績があり、詳しい建築会社に依頼する
多層構造は、高さの使い方に注意が必要です。スキップフロアや直下の階層の天井が低すぎたら、使いづらくなります。
自治体によって建築基準法の解釈が違うことも、注意が必要です。「2階建て」にスキップフロアをつくったつもりが、地域によってはスキップフロア部分を「2階」と見なされ「3階建て」扱いされることもあります。
スキップフロアを採用する際は、簡易な壁量計算ではなく、しっかり構造計算したほうがよいケースもあります。ですから、スキップフロアにしたい方は、実績が豊富な建築会社に依頼するほうが安心です。
一般の方が図面だけで多層構造を把握するのは難しいので、3Dや模型によるプレゼンをしてくれる建築会社のほうが望ましいでしょう。
スキップフロアのメリットとデメリットまとめ
スキップフロアにはたくさんのメリットがある反面、デメリットもあります。とくにバリアフリーと相性が悪いことや、建築コストがアップすることは把握しておいたほうがよいでしょう。
とは言え、狭小地や傾斜地では、土地の成約を緩和するのにスキップフロアが役立ちます。スキップフロアにすることで、設計上の課題が解決できるのであれば、積極的に採用を検討したいところです。
なおスキップフロアの住宅をつくるのは、一般的な住宅をつくるより難度が高いので、実績がある建築会社に依頼することをおすすめします。
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