本稿では、高台の土地のメリットとデメリットをご紹介します。眺望がいい土地を買って家を建てたいとお考えの方は、最後までご覧ください。
眺望がよい高台の土地は昔から人気でしたが、東日本大震災の津波で、防災面からさらに高台に注目が集まりました。本稿を読んでくださっている方の中にも、環境と防災の両方から高台の土地を探している人がおられるかもしれませんね。
しかし、高台について少し調べてみると、必ずしもよいことばかりではないと気づくと思います。ですから高台の土地は、長所と短所、両方とも把握して購入することが大切です。
高台の短所を理解している人は、建築後に「思っていたのと違う」ということになりにくいでしょう。まずは高台の土地の特徴を理解して、その長所(通風、採光、眺望など)を満喫してみませんか?
高台の土地のデメリット
まずは、高台の土地のデメリットからご紹介します。これからご説明する以下の3つのデメリットについて、しっかり把握したうえで土地探しや建築の計画を立てていただくとよいでしょう。
- 崖崩れや土砂災害の危険性がある
- 土地に高低差があると、余分な費用がかかる
- 移動の負担が大きい
詳しくご説明していきましょう。
崖崩れや土砂災害の危険性がある
高台の土地でもっとも心配なことと言えば、崖崩れや土砂災害ではないでしょうか。実際、高台や傾斜地には安全上の建築制限があるエリアが多く、そういうところは資産価格も低くなりがちです。
ちなみに不動産業界で「崖」と呼ばれ特別扱いされているのは、傾斜度が30度以上の急傾斜地で、下端から最高部までの高さが2m以上のものです。このような崖地は、自治体が制定する通称「がけ条例」で建築行為を制限しています。
規制内容は各自治体によって違いますが、よく見かけるのは、以下の2つのうちどちらかの対策を課したものでしょう。
- 施主工事で擁壁(ようへき)を設ける
- 崖から一定の離隔距離を取って建築する
擁壁とは、家の重みで斜面が崩れないように、土留めのためにつくられる壁状の構造物です。崖地では、この擁壁を設けて崖崩れを防ぐか、まんがいち崖崩れが起こっても被害が出ないように住宅と崖の間の距離をあけることが求められます。
さらに、崖の高低差が5mを超えると、以下のような特別区域に指定されます。
- 急傾斜地崩壊危険区域
- 土砂災害警戒区域
- 土砂災害特別警戒区域
上述の地域は、土石流・地滑り・崖崩れの危険性がある地域です。特定の開発行為に自治体の許可が必要で、建築に制限が課されます。場合によっては移転勧告が出るケースもあるので、心に留めておきましょう。
ちなみに、上述の区域に該当する土地は、購入時点で不動産会社から「重要事項」として説明があります。または、自治体の建築指導をおこなっている課で教えてくれますので、近くに崖がある土地は、規制がないか確認してから買いましょう。
土地に高低差があると、余分な費用がかかる
高台の土地は、敷地内に高低差があるケースが多々あります。高低差がある土地は、平地に比べて建築関連費用が高額になりやすいので、注意が必要です。
たとえば、先述の「がけ条例」該当地域では、擁壁をつくる費用がかかります。通常の基礎では一部が地面に届かず、高額な深基礎(通常の基礎より深くつくる基礎)が必要になる場合もあります。
また、傾斜地に土を盛って埋め立て、建築ができる状態に造成した「盛土」と呼ばれる土地も留意が必要です。自然にできた平地に比べ不均質、かつ強度面で劣りますので、地盤改良工事が必要になりやすいのです。
傾斜地に建つ住宅は、火災保険も高くなる場合があります。土砂災害に対する補償(水災オプション)を付加すると、掛け金が一気に上がるのです。自治体が公表しているハザードマップ等を確認しながら、付加するかどうか、よくご検討ください。
移動の負担が大きい
高台に家を建てるとき、坂道の多さを気にされる方が少なくありません。それも当然で、坂道は生活に対してなにかと負担になります。たとえば、すぐに思いつくところだと、以下のことで困りそうです。
- 徒歩や自転車での移動が困難
- 坂道に家を建てると、車庫入れが難しい
- 車の燃費が悪くなる
また、麓(ふもと)へのアクセス道路が少ない高台では、通勤・帰宅時に数少ない道路が自動車で混雑するケースもあります。徒歩によるアクセスも、急な坂道や長い階段を通らねばならず、平地にはない苦労をともなうでしょう。
ちなみに、高台にある大規模マンションが麓から頂上まで共用エレベーターを通した例もあり、高台に住むうえで「上り坂」が課題になっていることがうかがえます。
さらに、山や丘陵を切り開いて通したいわゆる「切り通し道路」は、凍結しやすいので注意が必要です。転倒防止や車のスリップ防止をおこなうだけでなく、危険なときは解凍するまで外出を控えるほうがよい場合もあるでしょう。
高台の土地のメリット
つづいて、高台の土地のメリットをご紹介します。今も昔も高台が人気である理由は、これからご紹介する以下のメリットによるところが大きいのではないでしょうか。
- 眺望がよい
- 風通しや陽当たりが良好
- 周辺の環境がよい
順番にご説明していきましょう。
眺望がよい
高台の最たるメリットは、眺望がよいことでしょう。たとえば50mの高台であれば、マンションの15階くらいに相当する高さから眼下を見渡せます。
とは言え「隣に住宅があれば、視界がさえぎられるのでは?」とお感じになられるかもしれません。しかし、丘や山の斜面は近隣住戸と高低差ができるうえ、大規模高層住宅も少なく、視界が開けやすいのです。
外からの視線も、平地に比べて気になりません。ですから高台の家は、眺望を利用した開放的な空間がつくれます。海沿いであれば、窓から海や港を見下ろすリラックスした生活が送れるでしょう。
ベランダやバルコニーを広めにつくっておくと、季候のいい時期は外で過ごしたくなるかもしれません。高台は、屋上テラスとも相性がいいでしょう。
風通しや陽当たりが良好
近隣住戸と高低差があると、周囲に通風や採光をさえぎるものが少なくなります。ですから高台に建つ家は、良好な風通しや陽当たりが得られる傾向があります。とくに南向きの傾斜地は、どの家も日照をさえぎられる心配が少なく人気です。
なお、高台は麓に比べて夏涼しく過ごせます。これは「気温減率」と呼ばれる割合が関係していて、標高が100m上がるごとに気温が約0.65℃下がるそうです。緑地の割合が多い高台は、ヒートアイランドによる気温上昇も緩和できるでしょう。
住環境がよい
多くの高台は幹線道路や商業地から離れているケースが多く、そこで暮らす住人しか出入りしません。その結果、車や街の騒音が少なく住環境が良好です。
「建築協定」と呼ばれるルールをつくり、良好な住環境維持に努めている地域もあります。そのような地域では、住宅の低層化や周辺緑地との調和が測られていて、静かで落ち着いた雰囲気の中で過ごしたい方に人気です。
津波や河川氾濫による水害の心配がほぼないのも、高台のメリットと言えるでしょう。東日本大震災のあと高台が注目を集めたのは、これが理由です。
なお、一部の高台の土地は価格が安い場合があり、これもメリットと言えるかもしれません。ただし、高台の土地が安くなっているのは、それなりの理由があるからです。必ずしもお買い得とは言えませんので、注意が必要です。
高台の土地のメリットとデメリットまとめ
高台の土地は眺望がよい傾向があり、見晴らしを活かして開放的な家が建てられます。傾斜地ならではの高低差によって通風や採光をさえぎるものが少なく、良好な風通しや陽当たりを得やすいのが特徴です。
いっぽうで、坂道が多いことから平地に比べて移動の負担が大きく、崖地については崖崩れや土砂災害が発生するリスクもあります。高台の土地を買うにあたっては、このようなデメリットも把握したうえで、できるだけ安全な土地選びをするべきでしょう。
日本は山が多く、傾斜地や高台が珍しくありません。そのような土地で多くの建築工事をおこなっている建築会社もたくさんあります。高台で家を建てるなら、そのような実績が豊富な建築会社に依頼することをおすすめします。
SHOSINでは、高台の眺望を活かした建築事例を公開しています。ご興味を持ってくださった方は、合わせてご覧ください。
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